腐海、森の奥へ旅立つ
そのブログ世界は 深い山奥にある
山の相貌は硬く 峻しいものだった
安易にひとを寄せ付けない
濃い霧がいく筋も漂い流れ 陽を遮るのだ
視界が悪く 歩く方向も定まらないが
冬枯れの落ち葉踏みしめ ゆっくりと往く
突然“グウッグウッ”という妙な声が 聴こえた
いったい何の動物なんだろう
そこには 痩せた白い枯れ木が 無数にたっていた
とてつもない数の木々が 無惨に朽ち果てているではないか
きっと天からの恵みの雨に 微量の毒を含んでいたのだ
雨は容赦なく 永く 降り注いだのだろう
そうして耐えきれず 終わりを迎えたのだ
さらに奥の森には 私の行く手を阻むように巨大樹が横たわっている
まるで巨大な竜のようだ
昔はあたりの若い木々を偉そうに睥睨していたろうに
いまは無様な姿を晒している
その場所を迂回してみると 小さな枯れ滝壺があった
不思議なことに先程から 生き物の姿がまったく見ないのだ
そんなっ 馬鹿な…奇妙な音だけが 聴こえ続けているのに
しばし水面をみていると
確かに底の方から何やら“ブツッブツッ”と 音が聴こえる
生き物なのか はたまた魔物なのか…判らなかった
仄暗い水底で 確かに何かが群れているようだった
何故かその奇妙な場所を 離れることができなくなった
わたしはまだ動けずに ここにいるのだ
居心地の悪い 森の奥 この場所で
(600文字)