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少しづつ秋が深まるこの季節にピッタリ、素敵な絵本『ルリユールおじさん』をご紹介します いせ ひでこ 作品【文藝作品⑥】

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この本が生まれた、きっかけとは

 

この本の作者である伊勢英子さんは、フランス旅行中に偶然、ヘンテコな部屋を発見しました。通りの窓越しに室内をみると、古い羊皮紙の本が並び乱雑な室内、そして見慣れない工具があるとてもフシギな部屋だった。

「ここは、一体なんだろう??」

とても気持ちを引かれ、しばし立ち去ることを躊躇した。そこで、彼女がとった行動がなんとも素敵なのです。自分が描いた絵本を、郵便受けに投函したといいます。その本に「アナタにお逢いしたいです」と書いた手紙を添えて。

 

宿屋にて何日も返事を待つ伊勢さん。

 

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そして諦めかけた滞在最終日にようやく返事が届いた。

「一時間なら、お会いしましょう」と。返答にしばらく時間がかかったのは、この部屋の主のおじさんが病気になり、入院していたからでした。

 

おじさんのルリユール工房で見つけた興味深いモノ

 

急いで面会にむかい、くわしく話を聞いた。実はこの不思議な部屋は、古い本を修復する「ルリユール工房」だったのです。そして部屋の写真を撮りたいというと、それはダメだとおじさんはいいました。それならばと伊勢さんは、夢中で工房内や街並みなど、スケッチしまくったといいます。

そのあと、何度もおじさん(齢八十歳らしい)の工房を訪ねることになる。ついに伊勢さんは、パリにアパートメントまで借り滞在し続けた、といったイレコミぶり。やはりそれだけの魅力が、「おじさんの工房」にあふれていたのですね。

(※ relieur、ルリユールは、フランス語で「工芸製本」と呼ばれ、職人の手作業による装丁や製本その技術のことを指します。手作業で一冊の書物に仕上げるルリユールは、ヨーロッパで数百年も続く伝統的な技術です)

 

そして、絵本『ルリユールおじさん』に結実した

 

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絵本『ルリユールおじさん

素晴らしい絵本が完成しました。2011年初版、いまもたくさんの人に読み継がれているのは、絵本好きにはたまらない「空間や時間」が共有できるからでしょう。工房内の描写には、おじさんが仕事に使う機械などマニアックな絵も多く、それらを水彩の淡いタッチで、独特な工房の空気感を表現しています。あなたが「絵本好き、植物が好きで、あとは…ちょっぴりフランス好き」ならば、ドンピシャ!にハートに届きます。さらに「子供の心を持つ大人のための絵本」でもあります。

 

「本と、おじさんと、おんなのこ」のお伽話です

 

ルリユールおじさん (講談社の創作絵本)

ルリユールおじさん (講談社の創作絵本)

 

○作者 いせひでこ講談社 ○ねだん1600えん

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○カンタンあらすじ

パリのまちに朝が来た。ソフィーが大切にしていた「植物の図鑑」が、バラバラになってしまい困ってしまいました。そこであるヒトに教えてもらったのが「ルリユールおじさん」でした。路地裏の静かな通りにひっそりとルリユールおじさんの店はありました。「ルリユール」とはもちろん“手作りの製本”のことです。ソフィーが歩き回って、やっと探し当てたお店でした…「はいっても、いいの?」

👇続きが知りたい方は、スーちゃんの朗読版をどうぞ。

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伊勢英子さん

○伊勢 英子(いせ ひでこ)1949年5月13日~北海道生まれ、絵本作家。父は画家、夫はノンフィクション作家柳田 邦男。「いせひでこ」名で活躍している。東京藝術大学 美術学部卒、フランスにて一年間イラストレーション技法を学ぶ。38歳のとき、眼疾患で右目の視力を失くす。「グレイがまっているから」で産経児童出版文化賞水仙月の四日」で産経児童出版文化賞美術賞。「ルリユールおじさん」で講談社出版文化賞絵本賞。

▷リンク/『ルリユールおじさん』朗読は田中好子 懐かしのスーちゃん!


YouTube

▷リンク/参考、フランスでの評価⇒ Sophie et le relieur - Hideko Ise - Babelio

 

(1700文字、I think you should read this book.) 【今週のお題】秋の空気