人気アニメ『終物語 episode1』で「モンティ・ホール問題」が登場します。
~最適値を探る話~
ピーキーでヤンデレ美少女ヒロイン「老倉育※」が中学校の下駄箱に残した手紙。それが『モンティ・ホール問題』を素材としていた。
下駄箱に三通の封筒があって。「A」、「B」、「C」が提示される。そのうちのひとつ「A」を開けた。その中には「Bの封筒は外れだよ。選択をCの封筒に変更する?」と書かれていた。扇ちゃんは「選び直そうが直すまいが、確率的には三分の一だから一緒じゃない?」阿良々木暦は「回答を選び直すが、正解なんだ」と言って「C」の封筒を開け、謎の洋館への地図を手に入れる。
しかし、この話でのモンティ・ホール問題の扱いは、何だかややこしい。主人公の阿良々木暦を「誘い出す手段」としてまず登場し、さらに…。
(※名前が、オイコラ(DV)育ちと、数学者オイラーとのダブルミーニングになっていますね)
この『終物語』はいきなり、こんな感じで始まる…「数学史上、最も美しい数式をご存知だろうか?」と、観る者に問うてくるのだ。
(θ = π のとき)
オイラーの等式なのだ…「うわ、アッタマ痛てぇ~ぞっこのアニメ!」(笑)のっけから挑戦的で「結構ヤダヤダな感じ」だったこのアバン。そしてテーマ曲は『Mathemagics』なのです。あくまでもこのストーリーは「数学的問題」であるというコトなのかな?
ずっと分かっていた 言葉は嘘ばかり
簡単に忘れる 不確かで 曖昧なもの
真実も ねじ伏せてく 魔法に逃げ込んで
太陽も消えた夏 一人きりで私が 導き出した答え
それは 君だった 見つけたの 誰よりも正しいはずの答えを
この頃の西尾維新は、絶好調でしたからね。ノリノリのネタ♪だったのだと思えます。時系列的には、物語シリーズの主人公である阿良々木暦の、高校三年の十月頃のはなしとなる。彼の過去、中学生時代にまで遡りこの事件が語られてゆくのです。暦が少年時代に、偶然に出会った「数学を溺愛している少女」老倉育の闇エピソードを、忍野扇(探偵役)が謎解きしていく。そして、あなたの人生の「解」を求めよ、と。
<終物語上 一話 あらすじ>
主人公の阿良々木暦は、私立直江津高校の三年生。中学では成績が良かったが、直江津高校では得意の数学だけが取り柄となった。友達がいない「ぼっち」そのことを、自分では「友達を作ると、人間強度が下がるから」とイタいコトいう男だった。急に転校してきた一年生女子「忍野扇」が教室やってきて、とても不思議なことをいった。直江津高校の平面図を作成したところ「三階の視聴覚室が奇妙に細長くなる、コレ隠し部屋でもあるのカモ?」と。
暦と扇は、そこに出向き教室に入る。するとその歪んだ教室から出られなくなり、時間もとまったまま。扇が「何らかの怪異現象では?」という。扇に誘導されながら、暦は徐々に二年前にあった“とある事件”を思い出した。その時に「カンニング犯人探しの学級会」があったことを…そして“決定的な何か”があった…徐々にミステリー小説仕立ての話となっていく。忍野扇が告げる「ワタシは何も知りませんよ。あなたが知っているんですよ、阿良々木先輩!」と。
▷参考/『終物語』第一弾PV 終物語 / 第1弾PV - YouTube
さて「モンティ・ホール問題」の解とは?
このアニメのネタ元となったのは、アメリカでのクイズ番組『Let's make a deal (さぁ、かけ引きです)』なのです。このクイズ番組で勝ち抜いた挑戦者は、ある「最終問題」に挑むことになります。
それは三つの扉のうち、「新車の待っている、アタリの扉」がひとつ。残り二つの扉の向こうには「ハズレのヤギが、待っている」こんな設定になっています。挑戦者が正解の扉を選べはもちろん、最新型自動車を手に入れることができるのですが。
まず回答者が扉をひとつ選ぶと司会者のモンティ・ホールは、こう言うのです…「最後に一回だけ別の扉に変えても、構いませんよっ?」と。さらには回答者が選ばなかった「ハズレの扉をひとつオープン」して見せます。ジャ~ン!
司会者のモンティ・ホールがハズレの扉をひとつオープンした時点で、挑戦者にはドアを選び直す権利があります。回答者は最初に選んだ扉をそのまま(STAY)か、または別の扉に選び直す(AROUND)か、最後の決断に迫られる。なぜ、そんなことを聞くのか?
残り二つの扉は「アタリorハズレ」のどちらか、すると「確率は二分の一」に思えますが、さて、あなたならどう判断しますか?
これがモンティホール・ジレンマ!
つまり最初に選んだ扉を、そのまま(ステイ)の場合、それが「正解の扉」である確率は「三分の一」だが、この時に別の扉を選び直し(アラウンド)した場合、それが正解の扉である確率は、何と!その二倍の「三分の二」になるというのです!…オヨヨ。
直感的には「そんなぁ…バカな!」と、思ってしまう。これが『モンティホール・ジレンマ』と呼ばれるものなのです。いわゆる思考の罠ですね。
とりあえずモンティ対策を考えてみると
<最初にハズレのドアを選ぶんだ作戦!>
①当たりのドアを選ぼうとせず、わざと「ハズレのドア」を選ぶ。
②その後モンティがもう一つの「ハズレのドア」がどれかを教えてくれるので、当然残ったドアが「当たりのドア」である。
③当たりのドアがどれか判明したので、最初に選んだハズレのドアから当たりのドアに変更すれば、これで大当たり~!
この手順で、かなり確実に当たりのドアを開けることができる。最初にハズレのドアを選ぶことができる確率は「2/3」なので、この手順に従えば「2/3」の確率で当たりのドアを開けることができる。
とりあえず、攻略法が完成かな?いや、それでもハズレたら…知らんがな!
そもそもモンティが「確率変動」を起こしている
あぁ、そう『確変』ね。このやり口は、現代のパチ台にも受け継がれ(サギだよ)ていることは、実に興味深い。それで「確変フラグ→再抽選→確率アップ!」といったパターンは、パチンコ台では、いまや常識となった。そ~か、それでか。
アニメに戻って。終物語のラストでは、老倉育が転校することになり、阿良々木暦に置手紙を残します。その封筒には数枚の便箋がありました。これは「老倉育の最後のメッセージ」と想われます。でも、その内容は視聴者には「明かされない演出」です。阿良々木暦(独白)「ボクは思わず、綻んでしまった。なぁ、なんて書いてあったと想う…?」と視聴者へ答えを問いかけて終わる、物語。
正解は『選び直す』ことにより『当選確率はアップする』コレだけは、確かなようです!
イラスト/ウキペディア (2900文字、thank you for reading.)
お題「好きなシリーズもの」#終物語#モンテホール問題