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ひとつ間違えば大惨事「全日空140便、背面急降下飛行事故」2011年9月6日和歌山串本上空【航空機 事件簿8】

 
それまで安定飛行していた全日空機が、突如背面飛行状態となり急降下を始めた、それは何故?乗員乗客117人のうち、CA二人が足を負傷。死者は出なかった。当該機140便は、那覇空港より東京国際空港へと向かう「国内定期便」だった。

全日空140便、急降下事故 (重大インシデント案件)

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▽参考動画/まずは、737のスタートアップ!めっちゃカッケ~やつ!飛行前の「計器チェック」いかに大切であるか、良くわかりますね。

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平成23年9月6日の夜間、21時15分。140便は高度41,000フィート (12,500m)を、オートパイロットで巡航していた。紀伊半島の東側太平洋上空の気流は、とても穏やかだった。機内では乗客が睡眠をとるなどしてくつろぎ、コクピットでも通常通りの左席に機長、右席に副操縦士が乗務していました。

22時46分。機長がトイレに行くために、コックピットから退室した。もちろんドアは、すぐに自動ロックされる。単独乗務となる副操縦士

22時48分。管制官から『右に3°の変針』指示があり、副操縦士は進路変更の操作をしていた。そんな時、室外からドア開けの合図があった。

 

「ドアロックセレクターとラダートリム」取り間違い

 

トイレを終わった機長が、コクピット入室の合図を送ってきた。副操縦士は機長を急いで入室させようとドア解錠用スイッチを操作する。直径約3センチの白いロックセレクターを左へ操作した…ハズだったのですが…。

 

<この時、誤操作しラダートリムを操作していた>

 

副操縦士の操作違いにより、ラダースイッチを左に回した状態を維持したので、機体はオートパイロット姿勢制御を崩しはじめる。左方へと徐々にすべり出し、機体は左傾斜を始めた!

副操縦士は、機長がなかなか入室してこないのを不思議に思い、自分が回したスイッチを確認しなおした。そこで初めて「自分の誤操作を認識」する。この時すでに誤操作から14秒も過ぎていた。副操縦士はあわててラダーペダルを右へと操作したが、機体の左旋回は全く止まらなかった。

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トリッキーな機体の動き方(事故調査報告書より)

突然、失速警報が鳴る。そのことに逆上した副操縦士は、今度は左側へと操作を戻したため、機体は大きく左へバンクし、ほぼ背面飛行にまでいたる。この状況は、機体の空中分解もあり得る緊急事態だった!

ブルーインパルスじゃないのだから!」

 

<左に131.7度まで傾き、急降下始めた!>

 

全日空140便は、約二十秒で6,000フィート (1,800m)を急降下し、機体には「設計限度を超える負荷(降下速度はM0.82。遠心加重が2.68G)」が掛った。少し冷静さを取り戻した副操縦士は、回復操作し機体をほぼ水平にまで戻した。35,000フィート (11,000 m)あたりで、ドアをこじ開けてコックピットへ戻った機長が操縦を無事引き継いだ。

その後は何事も無く23時30分頃、羽田へ無事着陸しました。

(※遠心力は速度の二乗に比例し、速度が二倍なら遠心力はその四倍となる。てことは…)

 

単純なヒューマンエラーが事故原因とされた

 

機長は事故後のインタビューで「急降下中はその場に立っていられず、コックピット内から“失速警報音”が聞こえていた」と証言しました。しかし多くの乗客は、夜間で外も見えなかったこともあり、飛行機がまさか背面しているとは気付かなかったらしい。急降下時に客室乗務員二人が、足を捻挫するなどの怪我を負った。乗客は全員シートベルトを着用していたため、大きな負傷者はなく四人の乗客が体調不良を訴えたのみだった。

(※巨大な遠心力がかかり押さえ付けられるため、案外なんともないらしい。水の入ったバケツを振り回しても中の水は落ちない、そんな感じ)

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間違えやすいパネルレイアウト(事故調査報告書より)

すべてはパネルレイアウトが悪いのか?それともパイロットか?

 

副機長が誤操作したスイッチは、同じパネル上に存在している。B737-700(写真左、事故機)のラダートリムスイッチは、パネルの中央にある。そこから左下20cmほどにドアロックセレクターが配置されています。『B737-500(写真右、以前搭乗)のドアロックセレクターと、B737-700のラダートリムスイッチが酷似していたため、錯覚して誤操作した』と事故原因が結論付けられました。さらには航空会社での「慣熟訓練が不十分」でスイッチ類の配置をパイロットが、理解出来ていなかったことも問題となりました。

▽参考動画/ほんの些細な錯覚が墜落しかねない程の重大インシデントとなる。ナイスな動画を見つけました。こちらも参考にどうぞ。

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737は沖縄に行く時、よく乗っていた機体で馴染みが深い。小型で「運動性能が良い機体」と想っていただけに、この事故には少しショックだった。でも、この事案で機体性能が証明されたワケでもあるが、なんだかなぁ~

<当該機のデータ>

○2011年9月6日。那覇空港発*⋆✈東京国際空港(国内定期便)を飛行していた全日空140便。搭乗者は、乗務員5名、乗客112名、計117名。

○使用機材「全日空140便B737-781機 」

型 式  ボーイング式737-700型

製 造 番 号  33889

製造年月日  平成20年 1 月11日 (2008年製造年)

総飛行時間  7,977時間30分

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B737-700

○機長は64歳。総飛行時間が「16,518時間47分」あるベテランだった。しかし、当該機では「64時間14分」しか経験がなかった。

副操縦士は38歳。総飛行時間は「2,930時間12分」当該機では「197時間13分」の経験だった。

 

「ようするにパイロットの習熟不足じゃね?」

 

(2,400文字、thank you for reading.bon voyage!

(参考、写真/JTSB事故調査報告書、ウキペディア)