『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』みどころ三選
まずはコレ!その1⇒抱腹絶倒「寅さんメロン騒動記」の巻
寅ファンに、「抱腹絶倒シーン」と高評価される「メロン騒動」ネタです!
まず、この話の前段として。
寅さんが青森、北海道で蒸発サラリーマン兵頭氏の世話をした。その兵頭(船越英二)、リリーと三人一緒に楽しく北海道放浪旅を果たした。
それでそのお礼にと、兵頭氏より高価な「マスク🍈メロン」をもらったという経緯があった。なので基本「メロンの所有権は寅さん」にある。
保管場所はとらやの冷蔵庫だから、管理責任者はオバちゃんとなる。そんな状況でスタート。
さて「とらや一家&リリー」が、茶の間で遊んでいます。この時、なぜか寅さんは外出中。おばちゃんは冷蔵庫を覗き、メロンを取り出した。
オバちゃん「う~ん。い~い匂い!」
さくら「あらっ、メロン切るの?」
オバちゃん「うん。リリーさん来たから、丁度いいだろ」
さくら「うわぁ、何年ぶりかしら・・」
わざわざ指折りしながら人数の確認した。答え「六人だねっ!」とキッパリ断言する。
そして喧嘩にならないように、慎重に「六等割に切り分け」ねばならない。これはとても難しい作業で、どうしても数ミリ程度は誤差(喧嘩のタネだよ)が出てしまう。管理責任者の「超絶技巧」が問われるのです。さぁ、責任重大だよっ!
オイちゃん「喧嘩しないように、公平に切れよぉ~」と、念押しする。
オバちゃん「それが、難しいんだよっ!」と、応えていますね。
そして無事分割作業はおわり、茶の間へ運搬する。さてさて。
「さぁ、頂きましょうか」
それぞれがまず、ひと口パクリ食す。「う~ん、美味しい♡」とか「ウマいっ♪」なんて思わず口に出る、幸せな時間ですよねぇ~♪
愉しい茶の間の団欒が始まりィ~と、思いきや・・・店先で何だか“聞き慣れた声”がするのだ。ありゃりゃーこれは・・
「相変わらず、バカか・・?」
寅さんがスィと、とらやへ戻って来た。
一転、凍りつく茶の間!😱ひぇ~💧
オバちゃん「あらいけないっ、寅ちゃんの分、忘れちゃった!」
さくら「勘定に入れなかったの?」
オバちゃん「うっかりしちゃって、どうしよぅ~」
もう全員がキョドって、オタオタしだす。
さくら 「どうしようって・・」
ひろし「隠しましょう(小声)」
オイちゃん「隠すって、どこぇ(ボソッ)」
そこにやけに上機嫌の寅さんが茶の間へ上がって来た。みんなの顔をニコニコながめ回している。愛しのリリーしゃんもいるしね。
茶の間に奇妙な緊張がはしる、さぁこれには困った!とらやファミリー演者の「絶妙な表情」にご注目!
寅さん「メロン、美味しいかい?」
さくら「うっ、うん…」
寅さん「よしっ!じゃお兄ちゃんもひとつもらおうか。じゃ、出してくれよっ!オレの…(メロンを)」催促するのです。
さぁ、困った。ドタバタの始まりィ~!(もう😫💦助けてぇ~ぇ~)
▷リンク/「🍈メロン騒動」このシーンの続きは、ぜひ動画でどうぞ!
次に、ココ!その2⇒涙腺崩壊「涙なみだの寅アリア披露」の巻
リリーしゃんが出演しているキャバレー「ゴールデン歌麿」まで、エスコートしたが、しょんぼりして帰ってきた寅さん。
家人に「おかえりなさい」と声かけられたが、「ハァ・・・」と溜息ひとつ、様子が変だった。寅さんいわく、リリーが出演するというキャバレーは「場末の小さな店でババァばかりで、とらやより店の規模が小さかった」という。
上框(あがりがまち)に腰をおとし、ポツリポツリと語り出す。
寅さん「あ~ぁ・・オレにふんだんに銭があったらなぁ・・・」とこぼす。
さくら「お金があったら・・どうするの?」と問いかえす。
寅さん「リリーの夢を叶えてやるのよっ!」
寅さん「例えば、どっか一流劇場。歌舞伎座とか、 国際劇場とか、そんなトコを一日中借り切ってよ、アイツに好きなだけ歌を、唄わしてやりてぇのよぉ・・」
さくら「そんなに出来たらリリーさん、喜ぶだろうね!」
さくらは、ホント嬉しそうに聴いている。
寅さん「ベルが鳴る。場内がスーッと暗くなるなぁ・・皆様、たいへん長らくをば、お待たせをいたしました!只今より歌姫、リリー松岡ショーの開幕でありますっ!静かに緞帳が上がる・・スポットライトがパァーッ!と当たってねぇ。そこへ、まっ白けなドレスを着たリリーが、スッーと立ってる!」
寅さんスクッと立ち上がる。
寅さん「そりやぁ、いい女だよぉ~!ありゃ、それでなくたってほら、様子がいいしさ。目だってほら、パチッとしてるから、映えるんですよっ、ねぇ!客席はザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワってしてさ。綺麗ねぇ~、いい女だなぁ!よっ、リリー!待ってましたっ、日本一!やがて、リリーの歌がはじまる・・」
「♪ひとりぃ~酒場でぇ~飲む酒はぁ~ぁ~」美声で唄う寅さん。
寅さん「ねぇぇぇ・・客席はシーンと、水を打ったようだよ。みんな、聴き入ってるからなぁ・・お客は泣いてますよぉ・・リリーの歌は悲しいもんねぇ。やがて歌が終わる。花束、テープ、紙吹雪。ワァ~ッ!と、割れるような拍手喝采だよぉ・・あいつはきっと、泣くなぁ・・あの大きな目に、涙がいっぱい溜めてよぉ・・」
茶の間にクルリと背を向け、上框に腰を下ろす寅さん。想いが溢れてせなで語る。
「いくら気の強い、あいつだってきっと・・泣くよぉ・・」
寅さん力なく涙を拭っていたが、照れ臭いのか「このへんで御開に」と二階へ上がってしまう。
さくら「リリーさんに、聞かせてあげたかったなぁ・・いまの話」
しみじみ・・さくらに、思うとろあり。
▷リンク/『悲しい酒』By美空ひばり
https://youtu.be/zi1yedKi3FE
最後は、ココ!その3⇒「寅&リリーしっぽり♡相合傘」
帝釈天参道に雨が降っている。寅さん、とらやに小走りで舞戻ってくる。やはりリリーが心配だった様子。
さくら「あっ!なんだ。そうか、お兄ちゃん。リリーさんのこと心配で、わざわざ来たの?」瞬時に見抜いた!
寅さん「心配じゃないよ、バカァー!ただオレはねぇ、あいつが駅から帰ってくる途中でよ、雨なんかにあって風邪でもひいてみろお前、えっ?肺炎起こしてみろっ、こんなにカリカリに痩せてるんだから、死んじゃうぞっ!」
早くもさくらもオバちゃんも、寅さんが“帰ってきた意図”が分かり、ニコニコしている。😙ふふ
さくら「わかった!じゃあ、お兄ちゃん。ほら、迎えに行ったげて・・」と、番傘をスっと差し出す。
うん、いい妹だね。
まさに愚兄賢妹の図。
寅さん「なんで?どうして?オレが行くんだよ・・おまえ行けよぉ~ほまぇぇ~」
さくら「だって私、もう帰るんだもん」
寅さん「おまえ、行けよぉ~☆」
さくら「ほらっ、お願いよ♡迎えに行ってあげて」
しかし、さくらが手渡すのは、番傘一本だけなのだ。これなっ🤭ぷぷっ
寅さん「そうかぁ・・?いやになっちゃうな。オレ雨降り、嫌いなんだよな。あ~ぁ、帰ってくるんじゃなかったい」と背を丸め、店を飛び出す。
柴又駅前、雨にあたられた乗降客は、傘を拡げ帰る。そこに所在なさげに、リリーの姿もあった。
ふと眺めていると、駅前のうす暗い場所で、寅さんがあさっての方向むき、番傘さし立っていた。
見つけたっ!これは嬉しくて仕方ない。勢いよく駆け出し、寅さんに抱きつくリリー。
リリー「きゃあ、はっ!」
寅さん、突然の相合傘状態。緊張で顔がこわばっている。目線はあくまで前!
リリー「迎えに来てくれたの?!」
寅さん「バカやろうぅ~散歩だよ」
リリー「フフッ・・雨の中、傘さして散歩してんの?」
寅さん「悪いかい?」
リリー「濡れるじゃない」
寅さん「濡れて悪いかよぉ」
リリー「風邪ひくじゃない」
寅さん「風邪ひいて、悪いかい」
リリー「だって。寅さんが風邪ひいて寝込んだら・・私、つまんないもん」
参道をしっぽりと往く、相合傘の二人…☂️俯瞰。
~チョコっとだけカイセツ~
相合傘の関係者試写の時。リリーこと浅丘ルリ子さんは、この「寅アリア」パートに感動して、大粒の涙を流したらしい(普通、演者が出演作を観て泣くことは滅多にない)。余程、感極まったのだろう。そ~んな逸話まであるのです!
○さくらは「リリーさんがお兄ちゃんの奥さんになってくれたら、どんなに素敵だろうな」といった。リリーは真剣な顔で「いいわよ。あたしみたいな女でよかったら」と応えた。
○結局『あいつは頭のいい、気性の強い、しっかりした女なんだよ。俺みてえなバカとくっついて、幸せになれるわけがねえだろ?』と寅さんは、さくらに言う。
観客は「うーん、何故だ?」と、ヤキモキするね。
○『あいつも、俺と同じ渡り鳥よ。腹すかせてさ、羽根怪我してさ、しばらくこの家に休んだまでのことだ。いずれまたパッと羽ばたいてあの青い空へ。なっ、さくら、そういうことだろう・・?』ということで、次作へ繋ぎます。
○俗に「リリー三部作」と呼ばれている『11作 忘れな草▷15作 寅次郎相合傘▷25作 ハイビスカスの花』この三作を連続で観ると、実に心地良いリズムを保っていることが判ります!是非まったりとご覧あれ!!
🎥 1975年8月2日公開(収録時間90分)
○渥美清…車寅次郎 寅さん○倍賞千恵子…諏訪さくら○下條正巳…車竜造 オイちゃん○三崎千恵子…車つね オバちゃん○前田吟…諏訪博 ひろし○太宰久雄…桂梅太郎 タコ社長○佐藤蛾次郎…源公○中村はやと…諏訪満男 みつお○船越英二…兵頭謙次郎 パパ○浅丘ルリ子…リリー松岡
(4000文字、Please enjoy “Tora-san's” movie!) お題「ゆっくり見たい映画」