奇天烈なる山嶺と
宇宙式便所紙試案
そうなのだ、アヤノは泣きながらこうも言ったのだ「あなたはシン タカシ、なのでしょ?」それは安堵なのか、錯誤なのか─愛は欺瞞によって維持される。晩秋の夜。タカシは単独で山行していた。稜線の避難小屋、灯油ランプがかすかに揺れている─そして午前三時。ギィと扉が開きスーツ姿の中年男が入ってきた。手にしたコンビニ袋からおにぎりと緑茶を取り出し、モグモグ食べそして去りゆく。その茨野道の先に拡がるのは、どこまでも打ち続く青い海原。波が砂浜に打ち寄せ、潮の香りが鼻腔をくすぐる。そう世界の裏側では別の陰謀が進行していた。JAL123便。アラスカ上空に度々現れる巨大UFO、米政府は事案を隠蔽し、日本政府は米隠し、ブラックメンが暗躍、衛星軌道上には黒き騎士衛星が漂っている。三十分後─また同じ中年男が入ってくる。まったく同じ行動に仕草繰り返し、まるで録画再生のよう「…さっきも来ましたね…?」タカシがそう問うと、中年男は首を45度かしげ「pourquoi pas?」と返した、そうあの夜だ。ドライブデートの帰り道。突然彩乃の顔がつるりと消失した。のっぺらぼうの笑顔が果たして判別できるのか─?背後に迫りくる日本人形。振り返った刹那、タカシの身体は虚空へと消失、残像だけが街灯にぶら下がる。さらに三十分が経った─中年男は真っ直ぐタカシの寝床に近づき、私の顔を覗き込み言った「検索してみなッ!hey🫵🏻You!」実際、山は「録画装置」なのだ!巨大なYouTube、遭難死、絶望、叫び!すべてを繰り返し再生し、動画再生数をとてつもなく稼いでいやがる。

突如、中年男が早口で捲し立てた「いやぁ、皆さん聞いてくださいよ。最近ねぇ~仕事や野暮用がガタガタ立て込んでしまい、深夜に帰宅する毎日。そうすっとね、ほら早朝がめっぽう辛いんですよね、そうなるとねぇ…朝起きるのがもう本当に億劫でね、苦痛になってくる。こういうことよくありますよねぇ。えぇ、えぇ、実はそうなんです」オクトパス社長が葛飾柴又で、たこ焼きを頬張りながら答える「おい!おい!なんだよぉ、こいつらpoopジュースを間違えて飲んでやがるぅ笑笑──Epstein! Ya-!!」銀河宇宙から観れば人間の営みなど鼻くそ団子。滑稽な反復繰り返し。ねぶっているだけの存在。漸くタカシは数年前にあった、自分の憤死を想い出せた。谷川岳で足を踏み外し滑落砕け散った身体、だが不思議なことにいまも「シン タカシ」として山歩きしている─擬似メモリを背負され別人の肉体で蘇った。そうかAndroidの心持ちがいま漸く判った。タカシは避難小屋の見知らぬ天井に向かい叫ぶ「うふえほゲボクソボットン便所─!!」そして最後には「なぞるだけって言われたって、それが私の生きる道なのよぅ─!」と、僕はキメ顔でそういった。音声に感応したランプの火がフッと消える。漆黒の闇。第三惑星、ブルーマーブルは宇宙辺境の猿惑星でしかない。タカシは漸く気付いた。自分の人生は、鈍いノコギリで首を切るようなものだった。研ぐ知恵も暇もなくただひたすら繰り返していた。ただ山は記録し、街は幻影を映し、そして宇宙は渦巻いている。それは安堵なのか、錯誤だったのか─愛は欺瞞により維持されゆく、それが定説。
「阿毘羅吽欠裟婆訶」🙏✨
ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑… ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑… ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑
▷推し曲/ピチカート ファイブhttps://youtu.be/cgdy-pNni-8?si=00G5Fh0lI5w3btDv
▷前回の話/検索タイトル:晩秋に単独行の山歩き
https://minminzemi81.hatenablog.com/entry/2025/09/28/155228
(Thank you for reading, It's a different story.)
#10月3日は登山の日#ライトノベル
