禁断の結婚式クイズ 開宴!
ボーナスステージの松明にポンポン火が灯る。地鳴りするような太鼓が、ドドドッ鳴り響いた。どこからか流れてくる雅楽。鬱蒼とした森の奥、巨大な赤い鳥居とその前に鎮座する二つの夫婦石。
手作り感溢れるネオン看板が架かる「最終儀式 ご結婚クイズ!愛のボーナスステージへ ようこそっ!」の文字。花びらの代わりに薄紅色の「御札」がフワフワフワ天から降ってくる。
ドドォーン!
テン「いやぁ〜どうも、どうも、どぅよ?お待ンたせいたしましたっぺぇー!ラストボーナスステージは、もう皆さんお判りですね!恒例の結婚式クイズの開始だっぺ〜ぇ〜!!」
拍子木が「チョーン!」と鳴る。
彩乃「ちょ、まさか、これ本気でぇ…(喜)」
テン「もちろんだともォ─本気と書いてマジとよむ。たかしきゅ~んとあやのちゃんねぇの結婚だっチューの!いやぁ~青春って素晴らしいっぺねェ、何処までも闇雲に突っ走るふたりの熱愛の姿、たぁっぷり魅せて貰うっぺよォー!」
ドドォ~ン!
たかし&彩乃「ふざけんなっ!!」ピシッと🖐
テン「でもねぇ…これ。ただの結婚じゃツマんないっぺぇ?なので引出物が…」拍子がひとつチョン!
「何と!今回、ご用意させて頂きましたッ─!金利、手数料は無料!テンネット負担。いまだけ目玉品、大サァ~ヴィスだっぺぇ~ぇ~!」ドドンがドン!
テンちゃんが背後をスッと指さす。
テン「さぁさぁ、ご結婚クイズに連続正解すれば、な、なっ、なんとぉ~!ホイッ!!」
「パンパカパァ~ン!」とSEが鳴り、紅白幕がバサッと落ちた。そこに現れたるは…白無垢姿の玲奈お姉さんだった。ただし顔には鬼面が、体中に縄とお札がビシバシ巻かれて、身動きひとつ取れない緊縛状態にあった…すでに意識すら怪しい…久々姉妹対面だったが、エグい姿に彩乃は声すらでないようだ…ありゃ、それは違った?
彩乃「え”ぇ?!あれは誰…?てか般若よ…?」
テン「玲奈ちゃんねェにかかった“韋駄天の呪い”じぇ〜んぶいま解けるっぺェ~!何なら彩乃ちゃんねェとの巨乳姉妹チェンジもアリランよォ?」
彩乃「げッ❗」
テンちゃんはたかしの横まできて耳に囁いた。
テン「(小声)歳上好き♡たかし君。どうペぇ、ン…?それとも、それとも。ペェスケはWで姉妹逝っとく?ン…?」※
彩乃「じぇ、じぇ、じぇ~!?」悪巧みが丸聴こえ、焦りまくりんこな彩乃。チェンジシステムかぁ、それも悪くないよなぁ~とジュルル顔全開のたかしだったが、彩乃に回し蹴りされその場で崩れ落ちた。たかしは復活の呪文を唱えた。
篝火が赤から白へと変わり、妙なる音色が流れる。空から七色の光がゆらゆら射し込み、そよ風が吹き桜の花弁と御札が渦を巻くように舞い上がった!ドドォ~ン!
テン「舞台さ~ん。せってんぐ、桶?そいではっ!小手調べの第一問っぺ!!して、たかしくんが彩乃ちゃんに、本気の萌キュン!した瞬間は次のうちどれっぺぇー?
A、彩乃ちゃんと相合傘した時。手が触れ、傘の中で目がバッチリあい、口吸いを迫ったぁ!(未遂)
B.校舎裏でシクシク泣いていた彩乃ちゃんに、何故かガッチリ足首を握られてズッコケたぁ(激痛)
C.体操服忘れて借りたら、何気入ってたメッセージ「このペェ♡スケ」皆にそれがバレたぁ(赤っ恥)
D.そんな瞬間一度もない記憶にもない(地獄行き)
ふふふっ真の愛が試されるっぺよぉ!さあ、どうするっぺかッ!?答え次第ではキスの嵐か、地獄のエンディングマーチ、運命が決まるっぺよぉ!ホイ、たぁ~かぁ~し、なぅ」たかしを指さす。
たかしは脂汗をかきながら選択肢を睨みつける。たかしのいまの記憶レベルではDだが、それだけは絶対に選んではいけない。Cは引っ掛け問題の気がする。本能がそう告げていた。
たかし「お、オラはぁ…B!校舎裏で泣いてたときに…」ゴクリ生唾をのむ。
テン「ピンポン、ピンポ〜ォ〜ン!!」
紙吹雪ではなく大量の祝儀袋が、頭上にドサドサ降ってくる!それには驚き慌てる二人。
テン「正解っぺぇ〜!ぴやぁ〜泣いてる子には優しくしろって、よくお婆ちゃんが言ってたっぺよぉ〜!知らんけど。祝儀+77袋点っぺねっ!」
たかし「なんだよぉ、その点数基準は…77?パチンコ屋かよッ?」
彩乃「あ、あの時のこと…たかし…覚えてたんだぁ…(ちょっと照れてる)」
テン「では、続けて第二問!彩乃ちゃんが回答者。たかしくんの大好物は、一体なんだったっぺか〜ぁ〜!?ハズしたら即爆っぺよ〜ォ〜!!
A、購買おばちゃん特製コロッケパン(爆買案件)
B.オカンの手作り肉なしカレー(安定の味わい)
C.彩乃こっそり手造りしてきた弁当(手渡未遂)
D.ごはんにのりたまだけの朝飯(チョチョ涙)
彩乃「ちょ…これ…選択肢の圧が強すぎるんだけど!?」
テン「時間切れはマイナ999点っぺよ!さあさあ、答えるっぺ〜ぇ〜!ホイ、あぁ~やぁ~の、なぅ」彩乃を指さす。
彩乃「しぇえぇぇ…!しィ…Cに賭けるっ!!」
テン「せ〜ぇ〜怪ぺぇ〜ぇ〜!!愛とはっ!なんぞッ?記憶に残る未遂の弁当箱っぺぇ〜!!これぞボーナスステージ!祝儀+77袋点が加算だっぺ!」
ドサドサドサドサ…またもや大量の祝儀が頭上に降る。その時、ガボンッ~!!!どこかの祠が爆した。そこから白ロバに乗ったテンちゃん2号がポコポコ駆けてくる。
テン「いよいよオーラスと問題。いっくっぺよ〜ォ〜!よいかッ?!」
ドドォーン!篝火が突如として青白く燃え上がり、地面より巨大結婚指輪の模様が浮かび上がり回転しだした、懐かしの足立宝石店か。
玲奈お姉さんが宙にフワフワ浮かび、式神が彼女の周囲をドドンがドンドン盆踊りしている、奇妙奇天烈な絵面となった。
テン「ついに最終決着問題…これは二人同時に、声併せて答えるっぺッ!心を合わせて叫ぶっぺよぉ!ハイ、大好きな人の名前っぺぃ~!!」
疲労困憊汗だくだく、たかしと彩乃が互いに目を合わせる…鈴の音がシャン、シャン、シャン鳴り響く。早くもテンちゃんが神楽を舞いだした♬.*
たかし&彩乃「せぇーの…〇〇〇っ!!」
天空より光柱ズドン!雷鳴ゴロゴロドッキューン!空が裂けたかと思えば、地面がバリバリと割れ始め、突如として式場が地中から盛り森と上がりズババァーン出現した!!爆竹パラダイス!あっちらこっちらで…ババンば、バンバンバン!!爆音!紙吹雪!白鳩発射ッ!!
テン「キタっぺぇ~よォ~鶴ちゃん亀ちゃん、はっぴぃ永寿嘉福ッ!!」シャリ~ン♬.*
たかしと彩乃が、突如背後から伸びた無数の白い手によって、一気にパリッと制服下着まで脱がされ丸裸、白無垢と白袴にスパパァーン生着替えッ!しかもお互いの衣装は妙にサイズぴったりこん。まっこと謎ぜよ。
式神ダンサーズたちがキレキレッダンスを踊り、祝詞は爆速スピードで読み上げられる!玲奈お姉さんの縛めがシュババッ解け、本身はゴロゴロゴロリ〜ン床を転がりながらもスタッ!と停止、やがて意識が戻る玲奈。
玲奈「…ぐはッ!これはゴールか?タイムは…良し!」玲奈はガバッと床から身を起こす。白装束はすでに無くマッパ、髪はボサボサ、でも表情はどこかスッキリしている。さっき迄が余程苦しかったのだろう。
玲奈「ぶはっ!ようやく解放されたワイ。マジキチで死ぬるか思った罠…ハハハッ w」
たかしが夢にまでみたという、玲奈さんが「すっぽんぽん♡仁王立ち姿」ぴぁあぅ~!
彩乃「たかしィ、みちゃだめぇ~!!」やっと気付いた彩乃、それはバックフェスだ後の祭りよ、時すでにお寿司の巻。
たかし「あ“あ“あ“あ“…おねぇ~すわ~ん!全裸ぁ…ふぅ♡なんという僥倖!!」たかしの両眼は♡マーク!ロックオン!ギリギリ穴が開くほどガン見し続けるっ!!
眼福!眼福!眼福!
玲奈の足元には、断ち切れ八重十字縄と、パックリ割れた般若面が転がっている。どうやらこの儀式の真の狙いは単なる結婚式ではなく、贄とされた玲奈さんを「韋駄天の呪縛」から解き放つ“解錠の儀”が本筋だったようだ。
「おりょ…?!」ようやく自分がマッパだったことに気付く、玲奈。流石にハズくなり胸だけ手ブラで隠した。
玲奈「あ?…あっしは…もうアレだからぁ…ほらナニだしねぇ。おぢゃましましたッ!んじゃ彩乃💪結婚ガンバッ!」そう言って韋駄天ダッシュで、マッパスピードで、どぴゅーんと逃げ出した!何事もなかったかのように走り去っていく、玲奈姉さんの背中が何よりも恐ろしかった。
いや、たかしだけは違ったか。
たかし「うわぁ玲奈様。アスリート♡巨乳体型ゆさゆさ、エエもん魅せて頂きゃしたでぇえぇ」と手を併せパンパン拝む。脇腹に彩乃の肘鉄がズドン、炸裂!床へ本格的に崩れ落ちる(二回目)たかしは復活の呪文をまた唱えたっ!
「呪文が違います」とキャンセルされた…
花火、爆竹が連爆され、テンちゃん2号が巨大な和太鼓ドガドガドガ叩きながら、満面の笑みで叫ぶ!あまりの展開に思考が停止したまま立ち尽くすたかしと彩乃だった。
たかし「えぇ~なに?これでオレら結婚したん?へんぢゃね」
彩乃「いや、いや、いや!ちょっ待ち!ドッキリィ─!?これドッキリだよッ─!?カメラはどこっ~!?」
周囲を見渡してもあるのは白煙と焦げ臭い爆竹の匂いだけ。遠くで式神たちが、出来栄え点に満足し、パチパチ拍手している。どこで覚えたんだンだその風習を。
テン2「めでたしっぺぇ~なぅ~ぅ〜!!」
テン「これにて儀式完了だっぺぇ~!二人はもう逃れられない“金剛の軛”っだっぺぇ~!!」
彩乃「え、えっ?いまクビキって言ったぁー?!」
てん「愛はあらゆる試練乗り越え生き延びるっペッ!」
ドドォン!篝火がスッと突然消え暗闇となる。こおして禁断の結婚儀式は、滞りなく終わったのだった。言祝ぐその陰で「或る意味、罰ゲー。ププッ」と、テンちゃんが小声で呟いたことを、たかし達は知らなかった。
いや、いまだ疑問が残るぞ…玲奈お姉さんの呪縛を解くため贄されたのは、いったい誰だったのか・・?
▷BGM♬.*゚Anniversary
https://youtu.be/hIOuyyiCh8g?si=Po0w0meva5iguaNy
▷次のおはなし 結界怪異物語 最終話
https://minminzemi81.hatenablog.com/entry/2025/04/19/114757
(※🔞注釈/「姉妹丼」とは、お姉ちゃん&妹ちゃんを一緒においしくいただく事である。類似メニューに「親子丼」もある。ほな「他人丼」は3Pか…?)
ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑… ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑… ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑
~中途解説項~
闇神伝承 別伝 壱
「韋駄天の呪い」
玲奈はクイズ問答で、辛くも一命を取り留めたが「縁、選ばなかった」ことが呪縛トリガーとなる。彼女の魂に封印された「韋駄天の呪い」とは…「走りすぎた神、封じられし神、韋駄天」。かつて神域を護る為に走り続けた鬼神。その脚力は因果律を追い越すと伝えられている。本来は仏教守護神だったが、ある日「闇神」に捕らえられ真逆の暗闇に堕ちてしまった。以来「韋駄天の呪い」だけがいまに伝わる。
外伝に曰「この呪いを受けし者、未来を駆け抜け、いまを喪うべし。心は時間軸を跳躍しさ迷い、身体は儀式の時まで封じられる。ただし解呪の鍵は婚儀式の選択にあり…云々」と説く。
テンちゃんが「サ~ビスだっぺぇ!」と明るく言う裏で、玲奈の身は呪術的拘束にあった。紅白幕の裏で密かに進行していた「韋駄天封じ」の儀式。縄は「八重十字縛り」お札は「時流即断ち」時間跳躍を防ぐための封。テンちゃんは呪い発動を引き延ばし、クイズ形式で因果律の判断を問うていたのだ。
闇神伝承 別伝 弐
「鈍足の檻解錠」
玲奈に呪いをかけた「闇神」とは、人の心の迷い、選べなかった過去、後悔、懺悔…それらを喰らい永遠に「選べなかった可能性」を現実世界に具現化する。テンちゃんは闇神と仲間でもあり、またライバル関係にある。
テン「おら、クイズに勝って未来を選ばせる役。アイツは、選ばなかった過去に惑わせる役目。いっつもケンカしてっぺ」玲奈の呪いを完全に解くには、闇神が仕掛けた「鈍足の檻」を突破するしかない。。
玲奈が呪いを解くため降した最後の選択は、婚約するでも破談するでもなく「いまを生きるために自分自身を選ぶ」…その瞬間、呪いは霧散し白無垢は融解し光へ還った。身体を縛っていた八重十字縛りとお札も天風に舞い散るよう消滅す。
テンちゃんがニッコリ笑いながら言う。「…ったく。めんどくせぇ~メノコだっぺよ。ンでもソレはそれ。良いっぺぇ~!」テンちゃんのクイズは単なるお遊びではない。怪異たちの利権争いや、神域の禁忌ルールが絡んでいる。「韋駄天の呪い」とは無闇走り続けた神が見た後悔の象徴。そして玲奈はいまや神に等しい存在となった。彼女の背には時空のしっぽが揺蕩っていた。
ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑… ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑… ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑
(Thank you for reading, to be continued.)
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