真夏の同窓会
夏になると思い出すんですよねぇ…わたしがまだ若かった頃ですが。ふとした旅先でね、商店街を巡り歩くのが好きでしてね。それもなんでもない地方のアーケード商店街なんですよ。
ツッと分けいるとね、魚屋の威勢のいい声が聞こえる。香ばしい焼き鳥の匂いも漂う。コロッケとかこれが美味いんだ。買い物籠下げた主婦、学校帰りの子ども達の声も聞こえる、なんかいい風情でねぇ。
そんな場所をぶらぁ、ぶらぁ、と歩いてますと。一軒の古錆びた造りの古書店が目にとまった。その店先の平台にはねぇ…ちょっと日焼けして色が褪めた文庫本とか、埃をかぶった文房具が並んでいる。
そこをスッ…と、通り過ぎようとした時。鼻先に匂ってきたんですよぉ。ほら、あの独特な、学校の図書室なんかのね…ちょっとカビ臭いような、それでいて懐かしい“あの匂い”ですよ!

「あぁ、これいいなぁ…
なんか懐かしいなぁ…」
なんて思いながら、ふと足元を見ますとね、一枚の古いハガキが落ちていた。それをひょいと拾い上げて見ると、差出人の名前も宛先も、雨に濡れたのか滲んで何だかよく解らない。
でもねぇ…日付印だけがね、何十年も昔のお盆の日付となっていたんです。それ見た瞬間、なんだか辺りが妙に…シン…と静まり返った。もう気味が悪くなって、逃げるようにその場を離れたんです。
それで。フッとこの話、思い出したんだ…
📫………Invitation post………ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑
いいですか──これもねぇ…ちょっとした知り合いのタカシくんから聞いた、なんだか不思議な話なんですがねぇ…
これはある夏の日のお盆時分、その彼のもとに一通のハガキが届いた。中学校時代の同窓会の案内状だったんですねぇ。よく見ると端が少し土汚れている。畑仕事の合間にでも書いたんでしょうね。
「あぁ、懐かしいなぁ。そういえば、あいつはいまどうしてるかなぁ─?」なんてね、とても懐かしく思ったそうなんですよ。故郷遠く離れた男には、しんみりしてくるものです。郷愁っていうんですか。
そして彼は同窓会にクルマに乗って向かったそうなんです。チョットした広場でクルマ停め、見上げたその場所はね、山の斜面地に建つ古寂た公民館。建物に入ると二階で宴会は始まってるようでね。
ギィ、ギッ、ギィ…
軋み音立てる木製階段を昇った。
「おぉ、お前か。久しぶり─!」
「変わんないなぁ!禿げてるけど」
そこには懐かしい顔ぶれがいた、十数人。座敷ではみんなが愉しそうにワイワイと笑ってるんですよ。ところがね…ふと気付いちゃった…何だかおかしい。誰も食事に箸をつけていないんだ。
並べられたお膳には真っ黒な異物のようなものが沢山盛られている。それをみんなジィっと見つめながらも、口だけをパクパク動かし、ケラケラと笑ってるんですよ。もう、これにはたまらず…
「おいおいおい。これは…
いったい何の冗談なんだ─?」
隣の旧友に小声で聞いてみた。するとその友人がゆっくりとこっちを振り向いたんです。
首のあたりが不気味に…ギッギィギッ…錆びついたボルトを回すような変なノイズを立ててね。
「…おまえさぁ…まだ気づかないのか?」
その友人の顔が深海魚みたいにヌラリとテラ光る。友人の学生服の裾からボタボタッ、ボタ、ボタと腐敗臭がする泥水が滴り落ちてくる。座敷にいる全員の足元が泥まみれだったんですよ。
「修学旅行のバス…
死んだ…あの川さ…
とっても冷たかったよ」
「ひぇ─?!」
もう言葉が出なかった。倒けつ転びつながら公民館を飛び出した!ようやく自分の車に飛び乗る。闇雲に真っ暗な山道を、心臓がバクバク破けるほど走りまくったそうです。
「はぁ…はぁ…なんだこれ夢か!
悪い夢を見てるんだろぉ、オレ」

バックミラーをチラッと見ると、後部座席にさっきのうんこまみれの料理が置いてあり、ぷぅ~んとあの匂いがまた漂ってきた。
おみや憑きか…嫌だなぁ…
怖いなぁ…うんこだもんなぁ…
🚙💭…………drive away…………ᨒ𖡼.𖤣𖥧๑
▷推奨曲/グッドバイ
https://youtu.be/kt5-Al0CMuk?si=qyeMEYVtIHmOoyvB
▷推奨作品/恐怖のツリデート
https://minminzemi81.hatenablog.com/entry/2025/06/22/153823
(This reunion is a real blast from the past.)
#ライトノベル#怪談
